G.SkillからAMD EXPO Ultra Low Latency(以下EXPO ULL)に対応したG.Skillの新しいDDR5メモリが登場しました。製品スペックがわかりましたので、その内容からEXPO ULLメモリの詳細と、製品選びについて紹介します。
DDR5-6000でさらに低レイテンシーを狙う新世代EXPO対応メモリ

今回発表されたのは、G.SkillのAMD向けDDR5メモリシリーズであるTrident Z5 NeoX RGBです。従来のAMD EXPO対応メモリをさらに進化させたモデルで、AMD EXPO Technology: Featuring Ultra Low Latencyに対応している点が大きな特徴です。
EXPO ULLは、従来のEXPOプロファイルよりもさらに低レイテンシーを狙った新しいプロファイルです。AMDでは、通常のEXPOプロファイルと比較して、ゲーミング性能で平均4%のFPS向上が期待できるとしています。
ただし、これはすべての環境で必ず4%向上するという意味ではありません。実際の効果は、CPU、マザーボード、BIOS、ゲームタイトル、解像度、GPUボトルネックの有無によって変わります。
製品スペックからみるEXPO ULL
EXPO対応メモリは、メモリクロック、タイミング、電圧をワンクリックで設定できます。EXPO ULLでは、そこからさらに踏み込んで、低レイテンシーを狙ったチューニングが行われている点が特徴です。
EXPO ULLでは表に見える4つの主要タイミングだけでなく、サブタイミングを含めた総合的なプロファイルとして最適化されています。
製品スペックにおいて気になるのは従来と大きく異なる、タイミングの最後の数値であるtRASです。
たとえば、従来のEXPO対応DDR5-6000 CL30モデルでは、以下のようなタイミングが一般的でした。
EXPOスペック:CL30-36-36-96
一方、EXPO ULL対応モデルでは以下のようになっています。
EXPO ULLスペック:CL30-36-36-32
2番目・3番目の数値よりも4番目のtRASが小さいという点は、これまでの知識からすると「こんなに小さくていいの?」と違和感を覚える部分です。また前述のようにEXPO ULLでは従来の「CL-tRCD-tRP-tRAS」以外の数値も最適化されているため、スペック上の数値で単純に評価するのは難しい部分があります。
またG.Skillのアナウンスでは、CPUはRyzen X3D系よりも非X3DのほうがEXPO ULLの効果が出やすいとしています。
ラインナップはDDR5-6000で4種類のタイミング

今回のEXPO ULL対応モデルは、いずれもメモリクロックはDDR5-6000です。
タイミングは以下の4種類です。
- DDR5-6000 CL36
- DDR5-6000 CL30
- DDR5-6000 CL28
- DDR5-6000 CL26
さらに、それぞれのスペックで3種類のヒートスプレッダーが用意されています。いずれも他のラインナップとはちょっと違った質感のヒートスプレッダーとなっています。
- Matt Black
- Matt White
- Glossy Black
以下、合計12製品のラインナップとなっています。
DDR5-6000 CL36-36-36-76 16GB×2
F5-6000A3636F16GX2-TZ5NXRK (Matt Black)
F5-6000A3636F16GX2-TZ5NXRW (Matt White)
F5-6000A3636F16GX2-TZ5NXRN (Glossy Black)
DDR5-6000 CL30-38-38-32 16GB×2
F5-6000A3038F16GX2-TZ5NXRK (Matt Black)
F5-6000A3038F16GX2-TZ5NXRW (Matt White)
F5-6000A3038F16GX2-TZ5NXRN (Glossy Black)
DDR5-6000 CL28-36-36-32 16GB×2
F5-6000A2836G16GX2-TZ5NXRK (Matt Black)
F5-6000A2836G16GX2-TZ5NXRW (Matt White)
F5-6000A2836G16GX2-TZ5NXRN (Glossy Black)
DDR5-6000 CL26-36-36-32 16GB×2
F5-6000A2636H16GX2-TZ5NXRK (Matt Black)
F5-6000A2636H16GX2-TZ5NXRW (Matt White)
F5-6000A2636H16GX2-TZ5NXRN (Glossy Black)

どのスペックを選ぶべきか
さて、実際の製品選びについてですが、4つのスペックの中で最も選びやすいのは、DDR5-6000 CL30モデルかと思います。
AM5環境では、DDR5-6000前後が性能と安定性のバランスに優れた定番スペックです。そこにEXPO ULLによる低レイテンシー設定が加わることで、扱いやすさと性能のバランスが非常に良くなります。
選び方の基準としては
価格重視ならCL36
バランス重視ならCL30
低レイテンシーにこだわるならCL28/CL26
を目安にしてみてください。
スペックと価格のバランスからするとCL30がおすすめです。CL28/CL26は価格がかなり高くなりますので、より低レイテンシーを重視するユーザーや、ベンチマークも楽しみたい方向けの上位モデルと考えるとよいでしょう。
DDR5-6400以上との選び分け
G.Skillメモリでは、しばらく品切れが目立っていたDDR5-6400〜DDR5-8000クラスの製品も復活してきています。より高いメモリクロックを試したい方や、メモリOCを楽しみたい方は、DDR5-6400以上の製品を選ぶのもありです。
ただし、AMD AM5環境では、単純にメモリクロックが高ければ必ず性能が上がるとは限りません。高クロックメモリでは、環境によってメモリコントローラーの動作比率が変わり、レイテンシー面で不利になる場合があります。詳しくは以下の記事をご覧ください。
ある意味最強、DDR5-6000低レイテンシーモデルとは? - AKIBAオーバークロックCafe
そのため、実用性、安定性、ゲーム性能のバランスを考えると、DDR5-6000のEXPO ULL対応モデルは非常に現実的な選択肢です。
DDR5-6400以上は、より高クロックを試したい方向け。
DDR5-6000 EXPO ULLは、安定性と低レイテンシーを重視する方向け。
といえます。
注意点:マザーボードのBIOS対応が必要
EXPO ULLを使うには、メモリがEXPO ULL対応であるだけでなく、マザーボード側のBIOS対応も必要です。
X870、X870E、B850などの新しいチップセットでは対応が進むと考えられますが、X670、B650などの600シリーズでは、メーカーやモデルによって対応状況が異なります。
購入前には、使用するマザーボードのサポートページで、BIOS更新内容を確認することをおすすめします。
確認するポイントは以下です。
- AMD EXPO ULL対応の記載があるか
- Ultra Low Latency対応の記載があるか
- AGESA ComboAM5 1.3.0.1b以降の記載があるか
- 使用予定のメモリがQVLに掲載されているか
2026年6月以前に販売されたAM5マザーボードで使用する場合は、BIOS更新が必要になる可能性が高いです。
注意点:既存メモリがBIOS更新だけでEXPO ULL化するわけではない
また勘違いしてはいけない点として、EXPO ULLはBIOS更新だけで既存の通常EXPOメモリが対応する機能ではないという点です。EXPO ULLを利用するには、EXPO ULL用のプロファイルが書き込まれた対応メモリが必要となります。
つまり、手持ちのDDR5-6000の通常EXPOメモリを使っていて、マザーボードのBIOSを更新してもEXPO ULLは使えないということです。
これから新しくAMD環境を構築する場合や、メモリを新調する場合に、EXPO ULL対応モデルを選ぶメリットがあると考えるべきでしょう。
価格が近いならEXPO ULL対応モデルを選びたい
現時点で、EXPO ULL対応モデルの価格が従来の同等CL製品と大きく変わらないのであれば、これからAMD環境を構築する方にはEXPO ULL対応メモリを選ぶメリットが大きいと思います。
G.Skill製品の場合は、ヒートスプレッダーのデザインでRoyalシリーズなど別シリーズを選びたい理由がない場合は、新規購入ではEXPO ULL対応モデルのTRIDENT Z5 NeoX RGBを優先してよいでしょう。
一方で、すでに安定して動作しているDDR5-6000のEXPOメモリを持っている場合は、買い替えによる体感差はそこまで大きいものではありません。ゲーム性能の数%の差、ベンチマークや低レイテンシー動作を重視するかで判断するのがよいと思います。
まとめ
G.SkillのTrident Z5 NeoX RGBシリーズは、AMD EXPO ULLに対応した新しいDDR5メモリです。
ラインナップはいずれもDDR5-6000で、CL36、CL30、CL28、CL26の4種類。さらに3色のヒートスプレッダーが用意され、合計12製品の展開となっています。
EXPO ULLでは、従来のEXPOよりも低レイテンシーに最適化されたプロファイルが用意されており、同じDDR5-6000でもより高い性能を期待できます。
これからAMD AM5環境を新しく組むならEXPO ULL対応モデルは、かなり有力な選択肢になりそうです。
以下モデルは先行して入荷予定です。早めにゲットしたい方はご検討ください。
F5-6000A3038F16GX2-TZ5NXRK (Matt Black)
F5-6000A3038F16GX2-TZ5NXRN (Glossy Black)
F5-6000A2636H16GX2-TZ5NXRK (Matt Black)
このブログ記事はPCパーツショップOVERCLOCK WORKSが制作・配信しています
AmazonでCPUをチェック