ユーザー投稿型の動画配信サイトが人気を集める現在、PCの用途としての動画編集は一般的なものとなりました。今回は、動画編集作業に適したPCの選び方をご紹介いたします。
●編集ソフトがあれば、動画編集そのものは可能
PCで動画の編集を行うためには、動画編集ソフトが必要です。有料アプリケーションならAdobe Premiere Pro、EDIUS、Video Studioなど、フリーソフトではAviUtlなどがあります。
これらの動画編集ソフトをインストールすれば、ほとんどのPCで動画編集を行うことができます。 ただし、PCのハードウェア構成によって、編集作業の快適性は大きく違ってきます。
どのようなアプリケーションにも共通しますが、編集作業でストレスを感じるのは待ち時間にあります。例えば、動画や写真を編集ソフトのタイムラインに追加するたびに何秒も待たされるようでは快適な作業環境とは言えないでしょう。では、そうした待ち時間を減らし、より高いレスポンスで編集作業を行うためには、どのような構成を選ぶと良いのでしょうか？
●動画編集をより快適にするためのパーツ構成
動画編集用PCのハードウェアの中で、特に注目したいパーツを大まかにまとめると以下のようになります。
・CPU： Intel Core i5/i7……（4コア以上、拡張命令にも注目）
・メモリ： 16GB以上 …… （容量を重視）
・GPU： 動画編集ソフトの対応次第
・ストレージ： 編集環境はなるべくSSD
CPUの処理能力は動画編集作業でも重要であり、特にマルチスレッド性能が重要です。動画編集を主目的にPCを構築するなら、少なくとも4コア以上のCPUを選びたいところです。また、動画の書き出し時のエンコード作業などでは、IntelならHaswell以降のCPUがサポートするAVX2などの拡張命令セットが大きなパフォーマンスを発揮するため、単にコア数が多いというだけでなく、新しい拡張命令セットをサポートしたCPU（SkylakeやBroadwell-E）を選びましょう。
動画編集ソフトも64bitに対応したアプリケーションが増え、大容量のメモリを有効に活用できるようになってきました。メモリの使い方はソフト次第ですが、動画編集と並行して画像の調整などを目的に画像編集ソフトや音楽編集ソフトを起動することもあるでしょうから、予算の許す範囲で、なるべく大容量のメモリを搭載した方が安心です。
GPUについては、動画編集ソフトがどこまでGPUを活用するかによります。プレビューの作成やエフェクトの処理にGPUを活用するようなアプリケーションなら、ある程度性能の高いGPUを搭載する意味はあります。また、動画の書き出しなどで、IntelのCPU内蔵GPUが持つハードウェアデコーダ「QSV」や、NVIDIA製GPUのNVENCなどを活用するアプリケーションでは、CPUよりも高速に動画の書き出しを実行できます。このあたりは動画編集ソフトの対応次第で効果のある場合とない場合の差が大きいため、事前に対応GPUと機能をチェックすべきでしょう。
ストレージも動画編集では重要なパーツとなります。動画編集では動画、画像、音声など複数のファイルを組み合わせて1本の動画を構築していきますが、それら複数のファイルをストレージから読み込みながら展開していきます。これら各ファイルの読み込みは作業時の待ち時間の要因となるため、転送速度や同時アクセスにHDDよりも強いSSDをソースファイル置き場にすると、より高いレスポンスでデータの転送が可能となります。快適性を追求するなら、システム用とは別にソース用SSDを用意したいところです。
●CPUとメモリは最初に抑えておくべき
動画編集作業は、現在のPCにとっても高負荷な作業の一つであり、特にCPUの処理能力が重要になる用途でもあります。高解像度で高画質な動画製作を目指そうとすれば、ハードウェアの性能はいくらあっても足りないほどです。
ただ、先に述べた通り、動画編集ソフトがあれば、ほとんどのPCで動画編集作業は可能です。今回紹介したCPUとメモリのスペックさえ押さえていれば、それなりのパフォーマンスで動画編集は可能になるので、PCを自作するのであれば、不足を感じた時にGPUやSSDを追加して強化するというのも良いかもしれません。
当店のBTO PCではメモリやストレージが選択できるようになっていますので、動画編集を目的とする場合は、以上を気を付けて構成を選んでいただければと思います。迷った場合は、ご相談いただければ最適な構成をおすすめすることもできます。
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