パーツの選び方 自作PCの知識

マイニング向けマザーボードとは

 近年、「マイニング向け」とされるマザーボードが発売されることがあります。今回はこれらマイニング向けマザーボードがどのような特徴をもった製品なのかご紹介いたします。

暗号通貨のGPUマイニング向けに設計されたマザーボード

 マイニング向けマザーボードは、GPUを使った暗号通貨マイニングを行うため環境を構築するのに適したデザインを採用したマザーボードです。

 GPUを用いる仮想通貨マイニングでは、GPUの性能や数が極めて重要となる一方で、バスインターフェイスの速度やCPUの性能の重要度は低いため、マイニング環境を構築する際は1つのマザーボードに複数のグラフィックカードを接続することになります。

 マイニング向けマザーボードでは、多数のグラフィックカードを接続するためにPCI Expressスロットを多数実装しています。ライザーカードの使用を前提にPCIe x1スロットを多数搭載しているものもあれば、ATXやE-ATXなど既存のフォームファクターを無視して多数のPCIe x16スロットを2スロット間隔で配置したものなど、通常のマザーボードとは全く異なる基板レイアウトを採用しています。
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▲PCIeスロットを12本備えるBIOSTAR TB360-BTC PRO2.0

マイニング以外の用途での使い道はあるのか

 ユニークな設計の製品が多いマイニング向けマザーボードですが、これを一般的なPCとしての用途として利用できるのかと言えば、当然できないこともないのですが、あえて使うメリットはほとんどありません。

 マイニング向けマザーボードは多数のPCI Expressスロットを備えていますが、スロット形状に関わらずリンク速度はほとんどの場合が1レーン(PCIe x1)であるため、SSDや高速なインターフェイスを増設する拡張カードを挿すには帯域が足りないことも多く、PCI Expressスロットを多数搭載するという特徴をマイニング以外の用途で活かすのは困難だからです。

 長時間の連続稼働が前提の暗号通貨マイニング向けと聞けば、耐久性や安定性という部分に期待される方もおられるかもしれませんが、現状のマイニング向けマザーボードは多数のグラフィックカードを接続することに特化した特殊設計のマザーボードであるということです。

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